腸内フローラをよくする難消化性たんぱく質について

腸まで届く難消化性炭水化物の話をこれまでしつこいほど書いてきましたが(下にリンク先を載せてます)、腸内フローラをよくするためには、炭水化物だけでは足りなくて、たんぱく質も必要です。腸内細菌が増えるには、炭水化物とたんぱく質の両方が必要だからです。だから菌をはやす培地にも両方いれます。

左が普通の細菌の培地で、炭水化物もたんぱく質もはいっています。右が腸内細菌用の培地で、これにも炭水化物(ピンク枠)もたんぱく質(緑枠)もはいっています。

ということで、今回は難消化性たんぱく質について書きます。

難消化性たんぱく質は、小腸の酵素で分解できなく、大腸まで届くたんぱく質のことです。
言い換えると「消化の悪いたんぱく質」で、植物に多く含まれています。動物性の肉は消化がいいので大腸に届かず、腸内細菌のエサにはなりません。なのでいい腸内フローラにするためには植物のたんぱく質も食べないとなりません
(実は消化によさそうな卵も加熱すると消化が悪くなるのですが、オナラの原因になっている場合も多いので、オナラが出すぎて困っている人は3日ほど食べるのをやめて様子をみることをお勧めします)

難消化性たんぱく質が含まれる食品である程度の量を食べられる食品としては、米、豆、イモです。これらの難消化性たんぱく質を食べると、腸内細菌叢が変わるので、腸内細菌が作る短鎖脂肪酸の量が増え、いいバランスに変化します。

たとえば動物実験の以下の図で説明すると、(レジスタントプロテインの生理作用 森田ら)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/34/9/34_9_560/_pdf/-char/ja


青枠は「カゼイン(乳たんぱく質)+コーンスターチ」のエサを食べさせたラットの盲腸内容物の短鎖脂肪酸の量と割合です。カゼインもコーンスターチも大腸にあまり届かないので、短鎖脂肪酸は少ししかできませんでした。

その隣の赤枠は「カゼイン+ハイアミロースコーンスターチ」のエサを食べさせたラットの短鎖脂肪酸です。ハイアミロースコーンスターチというのは消化が悪く大腸まで届くコーンスターチです。短鎖脂肪酸の量は増えましたが、体に吸収されにくく腸にたまって下痢の原因になるコハク酸(黒)がたくさんできて、バランスが悪く、この状態では下痢になっているはずです。

その隣の緑枠は、ハイアミロースコーンスターチに植物由来のたんぱく質を加えたエサを食べさせたラットの短鎖脂肪酸です。①が米たんぱく質、②が大豆たんぱく質、③がポテトたんぱく質です。
赤枠のカゼイン(牛乳に含まれているたんぱく質)より、植物のたんぱく質のほうが、酪酸(白)もでき、短鎖脂肪酸のバランスがよくなりました。

これは腸内フローラが乏しい実験動物の話ですが、人間でも難消化性の炭水化物とたんぱく質のバランスが崩れると、同じようなことが起こります。
下痢の人でウンチが黄色い人は、コハク酸や乳酸がたまっている人です。コハク酸や乳酸は体に吸収されにくい酸なのでいつまでも残っていて、腸内環境が酸性になりすぎます。そうなると、腸内細菌たちのリレーがうまく働かず、大腸の栄養になったり、免疫の暴走をとめる酪酸やプロピオン酸ができにくくなります。(詳しくは下にリンク先があります)

ということで、難消化性たんぱく質は、腸内細菌を増やすのに必要なだけでなく、腸内細菌がつくってくれる短鎖脂肪酸のバランスにもとても大事です。

じゃあ、何を食べればいいかということですが、
無理せずある程度の量が食べれるものといえば、主食のコメ、イモ、豆ということになり、いつもの結論と同じになってしまうわけです(^^;

豆ならば、枝豆、納豆、味噌など。味噌ならば、麦みそ・米味噌よりは豆味噌(名古屋の八丁味噌など)に多く含まれています。https://www.jstage.jst.go.jp/article/kenkouigaku/25/3/25_194/_pdf

ジャガイモは炭水化物の塊のイメージがありますが、酪酸を増やすいいたんぱく質が入っています。

米も炭水化物の塊のイメージがありますが、米にもいいたんぱく質が含まれていて、昔の日本人は米ばかり食べていたのに筋肉もあり、走っても持久力がありました。
米に含まれているたんぱく質の塊は、酒粕です(下にリンク先あります)。でも酒粕だとどうしてもアルコール分が入っていますし独特な風味はあって、毎日の料理には使いにくい・・・

ということで、昔から日本人は毎日お米をたくさん食べて腸内フローラをよくしてきたのですが・・・・何度かブログに書いたように、最近は栽培時に窒素肥料を減らしているので、お米のたんぱく質が減っているのです。(お米のたんぱく質 https://arterio.co.jp/2017/04/11/protein/ )お米離れを防ぐためにおいしくして、それで腸内フローラが悪くなる。。。。米好きとしてはとても悲しいことです。

ウンチが黄色い、茶色いけど軟便、という方の食事には、腸まで届くたんぱく質が少なくなっているかもしれません。米イモ豆を意識して食べて腸内フローラをよくしてくださいね(^^)/ (お米は少し硬めに炊いてください。https://arterio.co.jp/2022/06/13/rice_brand/ )

*短鎖脂肪酸のことはたくさん書いてあるのですが、今回の話に関係ありそうなのは、
大腸がんや潰瘍性大腸炎の人は、短鎖脂肪酸が少ない(短鎖脂肪酸③)https://arterio.co.jp/2016/10/10/scfa-3/
腸内細菌がつくる短鎖脂肪酸は、腸内細菌たちが、協力してつくる(短鎖脂肪酸④) https://arterio.co.jp/2016/10/11/scfa-4/

*腸内フローラを整えることが万病を防ぐことにつながります ①~⑥まであります
「腸内フローラのバランスの乱れ」が「慢性炎症の元」で「万病の元」① https://arterio.co.jp/2019/06/12/dysbiosis/

*腸内細菌にいい食べ物 ①~⑥まであります
お米を食べてもいいウンチにならなくなったのはなぜ?(腸内細菌にいい食べ物①米)https://arterio.co.jp/2017/04/11/rice/
米に含まれているたんぱく質について(腸内細菌にいい食べ物②米たんぱく)https://arterio.co.jp/2017/04/11/protein/
酒粕でいいウンチになるか?(腸内細菌にいい食べ物③酒粕)https://arterio.co.jp/2017/04/11/sakekasu/
流行りの大麦でいいウンチになるか試してみた(腸内細菌にいい食べ物④大麦その1) https://arterio.co.jp/2017/04/11/barley1/
大麦は人によってはオナラがでたり緩くなるかも(腸内細菌にいい食べ物⑤大麦その2)https://arterio.co.jp/2017/04/11/barley2/
お米を少し硬めに炊くと腸内細菌のエサになりやすく、便秘になりにくい(腸内細菌にいい食べ物⑥お米の炊き方でウンチは変わる) https://arterio.co.jp/2017/04/11/food6-gohan/

*おまけ 
腸内細菌にとっての米デンプン。米は肥満防止効果がある(腸内細菌の立場から考える食物繊維⑥)https://arterio.co.jp/2016/05/20/fiber6/
ご飯は整腸作用を持つ食物繊維と同様の働きをする難消化性デンプンを含み予防に有効(腸内細菌の立場から考える食物繊維⑦)https://arterio.co.jp/2016/06/17/fiber7/

*おまけ2
お米のタンパク質について書いてある記事をみつけました。https://www.gohansaisai.com/fun/entry/detail.html?i=738
詳しいと思ったら、専門家(^^;)、全国米穀販売事業共済協同組合。お米の販売のサイトもあって、食べ比べセットもありました。https://www.gohansaisai.com/shop/ 「リラ子監修うんちのよくなるお米」とか作らせてもらえないかな。日本人の腸内フローラをよくする救世主はやっぱりお米なんですよ!お米を少し多めに食べるようになってウンチがよくなる人多いです。逆にパンを食べるようになってからウンチが悪くなった人も多いです。

お米のたんぱく質が減る理由は気象条件と窒素追肥量で、肥料の窒素成分量とタンパク質含有量に相関性は見られませんでしたが、穂肥の窒素成分量とタンパク質含有量には相関性がありました。と書いてあります。

*おまけ3
ブランド米生産に向けたゆめぴりかの栽培方針 https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2030853633.pdf
Ⅴ 良食味米を目指した土壌管理、施肥技術 https://hokkaido-nosan.or.jp/manager/wp-content/uploads/r04_rice-5.pdf

生育中~後期の窒素施肥は米粒への窒素集積傾向が強く(図14)、特に止葉期以降の分追肥は影響が大きいことから、良食味米(低タンパク質含有率米)生産の見地からは止葉期における分追肥は行わない。(白米の外側だけでなく内側のタンパク質も減るんだ)

筆者について

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