「日本人には酪酸生成菌が少ない」という論文紹介と解決法

世界中のヒトの腸内フローラは3つのタイプに分類されている

世界中の人の腸内フローラ(エンテロタイプ)を3つに分ける有名な論文があります(2011年発表)。

①バクテロイデスが多いタイプ→タンパク質や脂質を多く含む西洋食を食べている欧米人(アメリカ、中国、デンマーク、スペイン、ロシアなど)
②プレボテラが多いタイプ→食物繊維など炭水化物を多く含む食事を食べている人や菜食主義者。(マラウイ、ベネズエラ、ペルーなど)
③ルミノコッカスが多いタイプ→①と②の中間の食事をしている人。(日本、オーストリア、フランス、スウェーデンなど)

腸内フローラは食事に影響されるのに、日本人が③の食事が同じと思えない国の人たちと同じグループなので、納得できずに、今までブログに取り上げなかったのですが、納得できるグループ分けしてくれた論文がありました。

腸内フローラの新しい解析法を開発(早稲田大学)

早稲田大学を中心とする研究チームが、腸内フローラの新しい解析法を開発して、その解析法で数国の腸内フローラを解析したところ・・・
①酪酸産生機能を有する細菌群(C細菌群)が分類された。
②国別に比較すると、日本人にはC細菌群(酪酸生成菌)が少ないことがわかった。
そうです。

https://www.waseda.jp/top/news/69510
図はリンク先と論文からお借りしました。

酪酸生成菌のグループが分類できた

まず、早稲田大学が開発した新しい解析法でグループ分けしたグループの説明です。

B細菌群:バクテロイデス属が多いグループ
P細菌群:プレボテラ属が多いグループ
R細菌群:ブラウティア、ビフィドバクテリア、ルミノコッカス属が多いグループ
C細菌群:クロストリジウム、ユウバクテリウム属が多いグループ
 と4つのグループに分けられ、
BとPとR細菌群に含まれているC細菌群が新たに分類されました。

 

このC細菌群に含まれている属の表ですが

ルミノコッカス属も混じっていますが、ほとんどが酪酸を作ることができる菌を含んでいる属です。ということで、C細菌群を「酪酸を生成する能力のある菌たちのグループ」としています。

B、P、R細菌群は、主に酢酸をつくるグループです。食生活のパターンでざっくり3つの酢酸グループに分かれるってことですかね~?

国別に新しい解析法で比較すると


上の図は濃い色ほど占めている割合が多いという図で、2011年の論文に合わせて、国を分けると、青がバクテロイデスグループ。B細菌群が多くて、2011年の論文と合ってます。
緑がプレボテラタイプで、P細菌群が多く、これも2011年の論文と合っています。
赤とオレンジが、2011年の論文によるとルミノコッカスタイプでR細菌群が多いですが、赤枠のオーストリアと日本が特にR細菌群の割合が多くなっていて、日本とオールトリアはロシア、フランス、スウェーデンとグループが別れました。

前から気になっていたロシア、フランス、スウェーデンとは少し違いがでて、納得できますが、日本とオーストリアとは食生活は似ているとは思えないのですが、同じグループになったのはどうしてでしょうか?同じくR細菌群が濃いからといって同じ属菌で濃くなっているわけではなく、R細菌群には、ビフィドバクテリアが含まれているので日本人は濃くなっていて、オーストリアは別の菌が理由で濃くなっているのだと思いますが・・・

なんと日本人には酪酸生成菌(C細菌群)が少ない

ルミノコッカスタイプでも、二つに分かれて、少し納得はしたのですが・・・

なんと、調査した12か国のなかで、日本だけが、酪酸生成菌(C細菌群)が占める割合が極端に低かったこともわかりました。
酢酸も腸の細胞のエネルギーにはなっていますが、メインは酪酸ですし、酪酸は癌細胞にアポトーシスを起こしますし、酪酸が少ないと免疫の暴走も起こりやすくなる。自己免疫疾患は日本人に特に多いわけではないはずですが、花粉症は多いと聞いたことがあります。大丈夫ですかね~日本人。

酪酸生成菌は3タイプ

酪酸生成菌には3タイプあります。

①糖から直接つくるタイプ(数は少ない)、
②酢酸から酪酸を作るタイプ(一番数が多い。メインの酪酸生成菌)、
③乳酸から酢酸をつくるタイプ(①より多いけど②よりは少ない) 

酪酸を一番多く生成している菌は、酢酸から酪酸をつくる②のタイプなので、この酢酸から酪酸をつくる酪酸生成菌が少ないと、酢酸が消費されずに、腸内のpHが下がり過ぎます。そうすると③タイプの酪酸生成菌も乳酸から酪酸を作れません。IBDの人の腸内に乳酸がたまっていて酪酸が少ないのは(少ないと免疫の暴走が起こりやすい)、酪酸生成菌が少ないのか、酢酸生成菌が多すぎるのか、どちらにしてもバランスが崩れている可能性があります。

酪酸生成菌が少ない腸内フローラの日本人という結果だったのですが・・・
昔のお米をモリモリ食べていた日本人の腸内には酪酸生成菌が今よりも多かったと思いますし、元々少ない菌叢といっても、菌だから環境を整えて栄養を与えると増えるので、ある程度、食べ物で増やすことはできます。腸内に酪酸が少ないと、免疫の暴走が起こるので、自分が自分を攻撃する自己免疫疾患などになりやすくなるし、慢性炎症にもなりやすく、もちろん花粉症にもなりやすい。酪酸生成菌が少ない現代の日本人、心配になってきました。

自分の腸内細菌に酪酸を作らせよう

培地(エサ)と環境(pHと温度)さえ合わせれば、菌は勝手に増えます。
ということで、
自分の腸内細菌たちに酪酸を作らせる方法は、
①腸内環境を少し酸性にして(ライラちゃん)、
②エサと酪酸の原料としては、大腸に届く難消化性のデンプン(米、豆、芋、大麦など)を食べるだけ
です。

と、ここで、酪酸をよく作らせるという「スーパー大麦バーリーマックス」という製品をみつけました。
3種類の食物繊維(フルクタン、β-グルカン、レジスタントスターチ)を含むバーリーマックスという大麦品種だそうで、この3種類の食物繊維が順番に腸内細菌のエサになって、酪酸が増えるそうです。素晴らしいですね~
https://www.atpress.ne.jp/news/190281
さっきアマゾンでぽちっとしたので、届いたら、ご飯に混ぜて炊いて食べてみます。
酪酸はウンチのにおいでわかるので人体実験です。楽しみ~💛

追記:スーパー大麦は殻がついているので、白米に混ぜてすぐ炊くと固いです。
先に大麦だけゆでると、ゆで汁にいい成分がでてしまう気がするので、
一度大麦だけで炊いて、それをできたご飯に混ぜるなど工夫したほうがよさそうです。

まとめ

日本人には酪酸生成菌が少ないらしいが、酪酸菌を飲んでも定着しない。
腸内環境を整え、酪酸ができる食べ物(米、豆、芋、大麦など)を食べよう。
そして、自分の酪酸生成菌を増やして、酪酸を作らせて、いつまでも健康でいよう。

腸内環境を整えるには、もちろんわれらがライラック乳酸菌のライラちゃんがお勧めです。
ウンチの色ニオイ形は腸内フローラの指標です。少しニオイがなくなってウンチが明るくなって形がバナナになってきたということは、腸内環境が整って腸内フローラが整ったということです。もちろんライラちゃんを飲んで酪酸が増えたエビデンスもあります。https://arterio.co.jp/2020/05/29/butylate/

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補足説明

①2011年発表の論文のサプリメンタルファイルをみたら、
エンテロタイプ①一番多い属がバクテロイデス(21.3-54.3%)、2番目に多い属がFaecalibacterium(酪酸を作る属)(0.5-8.7%)
エンテロタイプ②→プレボテラ(5.8-35.9%)とバクテロイデス(1.8-15.3%)が優勢。
エンテロタイプ③→一番多い属がバクテロイデス(1.8-17.7%)、2番目に多い属がビフィドバクテリア(0-20.3%)で、ルミノコッカスは0.3-7.1%なのに、ルミノコッカスが多いというのがどうも腑に落ちないです。ビフィドバクテリアだとなんでダメ?③は食生活違う国が多すぎる

②酢酸や酪酸などの短鎖脂肪酸については、あっちこっちに書いています。「短鎖脂肪酸」で検索するとたくさんでてきます。
https://arterio.co.jp/?s=%E7%9F%AD%E9%8E%96%E8%84%82%E8%82%AA%E9%85%B8

③今回は菌の名前がたくさんでてきて、少し難しかったかも。バクテロイデス、ルミノコッカスの、写真は、ここにあります。https://arterio.co.jp/2017/08/04/scfa2/

④免疫のバランスを整えるブレーキの「酪酸」の話はここ
https://arterio.co.jp/2018/01/29/butyric-acid/

⑤以前書いた大麦の話はこちら
https://arterio.co.jp/2017/04/11/barley1/
https://arterio.co.jp/2017/04/11/barley2/

自分の腸内フローラを整えて、ずっと健康でいようね💛

 

 

筆者について

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