オナラの原因はストレスではない!呑気症の真実

アテリオ・バイオの三輪です。私が30年以上前に研究していたのがELパネルというもので、最近になってようやくスマホやテレビで使われるようになってきました。私が研究していたものは今とは少し違いますが、研究は埋もれてしまうものもある中で、日の目を見たことを喜びたいと思います。

さて、「便秘なのに下痢ってどういうこと?便秘と下痢の本当の原因とは。」では、便秘と下痢の両方という状態が起こる原因をご紹介しました。「便秘で下痢」の人は人知れず悩んでいることがあります。それは「オナラ」と「おもらし」。

 

便秘と下痢の両方の人は、なにが違う?

私はおなかが弱い体質だとか、自分の腸はほかの人とは違っているのでは、とか思っている人はいませんか。便秘と下痢の人は、いろいろと悩みが多いものです。

オナラの悩みもそのひとつ。いつもおなかがゴロゴロ、常におしりに力を入れていないと悲劇がまっています。

オナラだと思ってちょっと油断すると、下痢便がチョロッともれることがよくあるでしょう(ない?)。

学校で授業中に我慢しきれずにオナラや下痢便がもれたりする子がいます。それもたまにではなく緊張するといつもそうなるといいます(Yahoo知恵袋)。

笑い飛ばせればいいのですが、多感な時期には自分はくさいと思われているのではないかと思って対人恐怖症になったり、不登校になってしまうことが多いようです(島田ら, 心身医学, 30, 1, 41-47, 1990)。

最近は子供や高齢者も便秘や下痢、オナラで困っている人が増えているようです(松本ら, 全日本鍼灸学会雑誌, 57, 4, 501-508, 2007)。

このツラサをだれもわかってくれない

便秘と下痢の両方という場合は、たとえば固いウンチがせき止められていて、そのうしろに液状のウンチが押し寄せている状態といったらいいでしょうか。ここはイラストにはしませんが、想像してみてください。

肛門を閉める肛門括約筋というのは内と外の二重になっていて、普段は内側が無意識のうちに閉めてくれているので、もれることはありません。肛門の神経はガスや液体と固体のウンチを感じ分けるほど敏感なのです。

しかしおなかの中でわき出るガスやおしよせる下痢に必死にがまんしても限度ということがあります。また固いウンチを液状のウンチが追い越してくると、だまし討ちにあったような感じで出ちゃうことも。

思春期の若者だと思い悩んで人格形成にも、その後の人生にも影響してしまうかもしれません。年配者の人でも生活の質に大きく影響しますし、自分ももうそんな年になったのかと、生きる気力を失ってしまうこともあります。

それに追い打ちをかけるのが、オナラはストレスが原因、下痢もストレスが原因、という説です。あなたの心が弱いからそうなるのだと、人間失格のらく印を押された気分になります。

まちがった情報にふりまわされない。

便秘、下痢、オナラに関しては、まちがった情報がたくさん出回っています。その一つがオナラの呑気(どんき)説です。「のんき」とも読みますが、空気をのむことを「どんき」といいます。

オナラの成分を分析すると大部分は窒素だったということがその根拠になっています。

ウィキペディアの「屁」では、「腸内のガスの9割は体外から口と鼻を通って入ってくるもの」としていますし、「おなら考」(佐藤, 文春文庫, 1998)では、「窒素は屁の主要成分をなすものであり(東大医学部の調査では49%)、もっとも多い場合は80%を占めるといわれる」と紹介しています。

数字はバラバラですが、オナラの成分は窒素が多く、それは口からのんだものという考え方です。

ストレスの多い人、神経症傾向の人、うつ状態の人が呑気症になりやすく、不安や緊張から空気をのみ込んでしまうと説明されています。

オナラの多い人はストレスが多く、性格的に緊張しやすい人がなるものというレッテルが張られているのです。

ただでさえ周囲の目が気になってビクビクしているうえに、さらにとどめを刺されるような扱いにすっかり気落ちしてしまう人が多いのではないでしょうか。

オナラの呑気説には重大な欠陥がある

腸内にガスがたまる状態を鼓張(こちょう)といい、おなかが張る症状を腹部膨満(ふくぶぼうまん)といいます。わかる人にはわかると思いますが、オナラの原因はおなかの中でブクブクと発生するガスなのです。

「診断の近道」(R. Douglas Collins (著), 日経メディカル (編集), 2018)では、腹部膨満がない場合の鼓張は空気嚥下(えんげ)が考えられますが、腹部膨満がある場合は別の原因としています。

これは考えてみれば当たり前のことで、オナラで困っている人は腸のなかで発生しているガスがつらいのであって、もとから腸のなかにあるガスを問題にしているわけではないのです。

ニューカッスル大学のクレアコリンズ教授は10人の健康な成人が1日に排出したガスの量を調べました(The Conversation AU, 2018)。参加者は200gの煮豆を食べ、24時間で平均705mlのガスを排出しました(1人あたり476~1,490ml)。

10人の被験者が排出したガスの成分は以下の図のようになりました。水素ガスが55%で最も多く、主に窒素と考えられた残りのガスは32%でした。

このように腸内発酵によってできるガスの大半は水素です。手術した後、オナラが出たかどうかが重要な判断材料になるということで、オナラセンサーが開発されています。このオナラセンサーは水素を検出するように設計されています。

つまり、腸の中に長い時間たまっているガスは窒素が多いかもしれませんが、ブクブクと発生するガスは水素が多いのです。それは腸内細菌が糖質を食べて水素と二酸化炭素を大量につくるからです。

呑気症には根拠がない?

それでも呑気症はあると頑張る人もいるでしょう。ここで別の事例をご紹介します。小腸や大腸の壁に無数の気泡ができる腸管気腫という病気があります。

その原因はわかっていませんが、腸のなかのガスが腸の壁のなかに入るという説と、腸内細菌が壁のなかに入って水素ガスを出して気泡をつくるという説があります。気泡のなかみは窒素が多いそうです。

この腸管気腫の治療には酸素療法が有効とされています。患者に高濃度の酸素を長時間すわせます。そうすると血液のなかの酸素が増えて、気腫のなかのガスを酸素におきかえます。そのあと気腫のなかの酸素は血液に吸収されて気腫はしぼんでしまいます。

これは何を意味するかというと、腸の壁では常にガス交換が行われているということです。血液のなかには赤血球に吸着した酸素が流れてきますが、気体の窒素もとけこんでいます。

そうすると腸のなかで発生した水素が、血液のなかの窒素とガス交換をして、腸のなかに窒素がたまるということが考えられます。

腸内に窒素がたまっているからといって、口からのんだものとは限らないということです。

便秘や下痢、オナラで困っている人も上を向こう

オナラで困っている人は心の弱い人ではありません。世の中のいわれなき中傷にじっと耐える必要もありません。「オナラはストレスが原因じゃないんだよ」と胸をはっていいましょう。

でもオナラで困っている人はストレスに弱くなったということはあるようです。つまり腸が過敏になっているのです。その原因は食べ物にあります。次回は便秘、下痢、オナラと食べ物の関係をくわしく掘り下げます。

まとめ

・「呑気症」はオナラの原因ではない。
・腸内細菌がつくる水素と二酸化炭素がオナラのもと。
・ストレスが原因でオナラが出るわけではない。

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