便秘なのに下痢ってどういうこと?便秘と下痢の本当の原因とは。

アテリオ・バイオの三輪です。私はもともとは表示パネルの研究者でしたが、13年ほど前にバイオの研究に転向し、8年前に腸内フローラ改善の事業を始めました。日本のディスプレイ産業の凋落ぶりは悲しい限りです。

それはさておき、なぜ腸内フローラの研究に変えたかという、自分自身が長い間、下痢やオナラで苦しんできた経験があったからです。多くの方にも腸内フローラと便秘、下痢(とオナラ)の関係を知っていただきたいと思い、このブログを書くことにしました。腸内細菌のことは医療関係者でも意外と知らない人が多く、まちがった情報も多いのです。人生が変わったと喜んでいただける人が一人でも増えることを願って、できるだけかんたんな言葉で解説したいと思います。

便秘と下痢はどう違う?

最近、便秘や下痢の人が増えています。便秘や下痢、オナラの問題はあまり人には話したくはない話題ですね。でも本人にとってみればすごく重要なことなのです。私の場合は、腹痛や下痢が所かまわず突然襲ってきて、ちょっと気を許すとオナラが出そうになるので、常にお尻の筋肉に力を入れている生活が約30年続きました。

集計にもよりますが15%前後の人が便秘や下痢で困っているといわれています(日本消化器病学会 機能性消化管疾患診療ガイドライン 2014—過敏性腸症候群(IBS))。思っていた以上に多くの人がこの問題を抱えているようです。

便秘と下痢というのは逆の動きに見えます。一般には便秘というのは腸の活動が停滞する状態で、下痢は逆に活発になりすぎる状態と考えられています。
ところが便秘と下痢を繰り返す人とか、便秘のあと下痢になるという人がいます。こういう場合の腸は活発な状態と活発でない状態が急に変わるのかというとそんなことはありません。
便秘と下痢の両方をよくするには、まず便秘となにか、下痢とはなにということを考える必要があります。

「便秘なのに下痢」の原因は?

 

実は便秘の原因はなんと言っても食事なのです。極端な話、植物状態でも消化管は動きます。

おいしいものがあふれている現在、それらを食べて人生を楽しく生きることも大切なことです。しかし、その結果おこる体の変化については知っておくことが、人生を長く生きるためには必要なことだと思います。

最近は糖質オフが大流行ですが、それでお米のご飯を食べないという人が増えています。最近のお米はおいしいので逆につい食べ過ぎちゃうという人もいると思います。実は食べすぎはよくないですが、食べなくてもよくないのです。

「最近のお米」というところがポイントです。「最近のお米」はどこが違うのかというと、食味改良によって低アミロース、低タンパク質米になっています(大坪, 北陸作物学会報, 48, 45-47, 2013)。

その結果、おいしいお米が食べられるので農家さんには感謝ですが、実は残念なことがあります。この二つの成分はどちらも腸内フローラにとっては大切な成分だったのです。それらは難消化性糖質、難消化性タンパク質といいます(加藤, 日本栄養・食料学会誌, 65, 6, 253-260, 2012)。

食事で腸内細菌を育てる発想が重要

ご飯の栄養で最も多い成分が糖質ですが、消化しやすい糖質と、しにくい糖質があります。消化しにくい糖質を難消化性糖質(レジスタントスターチ)といいます。これはヒトの小腸ではあまり消化されずに大腸まで届きます。同じように難消化性タンパク質というのもあってレジスタントプロテインといいます。

動物の消化管は
    食道→胃→小腸→大腸→肛門
と続きますが、腸内細菌は主に大腸にすんでいます。小腸は食べ物の栄養を吸収するところですから、小腸の後の大腸にはあまり栄養が流れてきません。消化しやすい食べ物はほとんど小腸で吸収されてしまいます。それでは大腸にすんでいる腸内細菌たちはお腹を空かせてしまいます。

食物繊維が善玉菌のエサになると思っている方が多いと思いますが、シャーレの中で食物繊維を与えても乳酸菌は全く増えません。草食動物などの腸内にいる特殊な微生物しか食物繊維を分解できないのです。食物繊維を水溶性と不溶性に分けることもできますが、水溶性食物繊維は少なくて、大腸に届いて腸内細菌のエサになる炭水化物は圧倒的にレジスタントスターチが多いのです(原, 腸内細菌学雑誌, 16, 35-42, 2002)。

腸内細菌の増殖は2段階

レジスタントスターチは小腸ではあまり消化されずに大腸に届きます。そうすると腸内細菌たちが一斉に飛びついて食べて酸をつくります。それで大腸の入り口付近、正確にはヒトの場合は上行結腸で発酵がおこり、腸内細菌が増加します。ここでつくられる酸の多くは乳酸や酢酸です。これが第一段階です。

次に、別の腸内細菌が乳酸から短鎖脂肪酸という大切な酸をつくります(酢酸、プロピオン酸、酪酸が短鎖脂肪酸で、乳酸はふつう短鎖脂肪酸に入れません)。これが第二段階でレジスタントプロテインは細菌増殖に必要なのです。

短鎖脂肪酸の中でも酪酸は腸のエネルギー源で、とっても大切な役割を果たします。酪酸がつくられないと腸がぜん動運動を起こさなくなったり、腸が委縮したり、腸壁が薄くなってリーキーガットの原因になります。

リーキーガットというのは腸壁に小さな穴がたくさん開く状態で、腸内の腐敗物質などが体内に侵入しやすくなるのであちこちで炎症を起こしたり様々な弊害をもたらします。便秘と下痢はウンチが出る出ないだけの問題ではないのです(リーキーガットについては別に詳しく解説)。

お米のご飯は食べた方が腸内細菌のエサになって腸内フローラを健全にできます。しかし最近のお米は難消化性成分が少ないので血糖値が上がりやすく肥満にもなりやすいので、食べ過ぎには注意が必要です。水分を少なくして固めに炊いたり、冷飯にすると難消化性成分が多くなるのでお勧めです。

ウンチをためるとどうなる?

このように便秘と下痢には背景になる生活習慣があります。生活習慣というのは自分で勝手に決めればいいと思いがちですが、実は体がついてこないのです。そこには動物としての進化がからんでいます。

そもそもなぜウンチをためてから出すのでしょうか。当然ですが魚のようにたれ流しでは生活できませんね。動物が陸上に上がるときにたれ流しでは捕食者に狙われやすいために貯蔵庫として大腸ができたと考えられています。

ためるとどうなるかというと、腐ります。それは食べ物を放置すると腐るのと同じです。よく何日くらい出ないと便秘というのでしょうか、という質問がありますが、それは毎日出た方がいいでしょうね。

では1日に何回も出るとどうでしょうか。これも1日に1回が望ましいです。その理由についてお話ししますが、その前にウンチの質の話をします。

ウンチの形は水分率を表しています。小腸から大腸に入ったばかりのものは液状ですが、先に進むと水分が吸収されて固形になっていきます。長くためているとそれだけ水分が吸収されて固いウンチになります。

また大腸の入口付近では先に書いたように腸内細菌が盛んに糖質を食べて酸をつくりますので酸性度(pH)が低いのですが、時間がたつと酸が使われてなくなり、代わりにアンモニアが増えるので酸性度(pH)は上昇します。これが腐る原因です。

おおむねpH6.5以上になると、硫化水素やインドールなどの腐敗物質が増加します。これらの腐敗物質は強い異臭を出しますので、臭いウンチになります。ウンチが腐る原因は大腸のなかでつくる酸の量が少ないことにあり、その原因は大腸に届く糖質の不足なのです。

私たちの研究ではpH6.5以上では二次胆汁酸も急に増加しますので、大腸癌などの発生も発酵部位から遠い直腸やS状結腸などの肛門に近いところで多くなります(胆汁酸の話はまた改めて)。

下痢の原因はいろいろ

一方、下痢はいろいろな原因が考えれます。下痢の人のウンチには乳酸やコハク酸が蓄積してpH5.5以下の酸性になっていることが多いようです(星ら, 日本食物繊維誌, 2, 1, 1-14, 1998)。

このような人は私も経験がありますが過去に炎症性腸炎などにかかっていることがあり、それ以来何年も何十年も慢性的に下痢という人が多いのです(日本消化器学会ガイドライン(前出))。大腸内が酸性に偏りすぎていて腸内細菌が働かないために酸の蓄積のループから抜けられない状態になります。

乳酸やコハク酸は大腸からほとんど吸収されず、腸内細菌が短鎖脂肪酸に変換することで吸収されます。その条件が概ねpH5.5から6.5のあたりに最適な条件があります。

いったんpHが下がり過ぎると酪酸が生成される前に水様便として排出されてしまうために腸壁に酪酸が届かず、腸壁が薄く過敏になって、水分がよりたまりやすくなることが考えられます。またアルコールや薬物、食物アレルギーなどの影響によって腸が過敏になって下痢を引き起こすこともあります。

便秘と下痢は反対の作用ではない

このように便秘や下痢は症状こそ反対ですが、腸内で短鎖脂肪酸がつくられないことがその共通する原因です。便秘と下痢を繰り返すとか、便秘で下痢の状態というのは決して矛盾するわけではありません。1日に何回も排便すると短鎖脂肪酸に変換される時間が少なくなるため、1日1回程度の排便が理想と考えられます(1回の量によっても変わりますが)。

腸管のエネルギー源である短鎖脂肪酸、特に酪酸が不足することによって、腸管粘膜が薄くなって腸が漏れやすくなります。生物は外側の膜がとても大切で外界との境目となります。腸管の中は体の外であって、外敵から防御する最前線なのです。

しかも腸管は栄養や水分は吸収して、外敵はブロックするというとても難しい仕事を任されています。そこで利用しているのが腸内細菌なのです。

腸内細菌を育てて楽しい人生を送ろう

腸内細菌も言ってみれば外敵の一種ですが、ある条件にしておけば悪さをせずによく働いてくれるものを選んで、腸内に定着することを許しているわけです(この仕組みについては別に)。

腸内細菌の働きの一つが短鎖脂肪酸をつくることなのです。便秘と下痢の状態を放置するとどうなるかというと、腸管の萎縮が進んだり、リーキーガットが進んで様々な症状が全身に及ぶようになります。このあたりの研究はいま盛んにおこなわれているので、面白い話題がたくさんあります。

残念なことに日本人の腸には形態異常がたいへん多いといわれており、欧米以上に腸機能の低下が懸念されています(久里浜医療センター, https://kurihama.hosp.go.jp/)。

便秘と下痢が長期にわたって続く人は、それだけでなく腹痛や異常なガスが発生したり生活の質が極端に低下します。学童期ではウンチとオナラのことが頭の中を占めて、とても勉強に集中できないという人がけっこういるようです。

オナラが気になる子の半数以上が対人恐怖の要素があり、不登校率が高いという報告があります(島田ら, 心身医学, 30, 1, 41-47, 1990)。

人生を左右してしまうかもしれない便秘と下痢(オナラもです)。あなたはどう対処していますか。

まとめ

・便秘と下痢、オナラの問題は生活の質を低下させるだけでなく人生に影響するほど重大です。
・便秘と下痢、オナラの原因は、「間違った食事による腸内細菌の異常」です。
・便秘と下痢は反対の作用ではなく、主に同じ原因(短鎖脂肪酸の不足)から起こります。

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