神経細胞より大事で壊れやすいかもしれない脳細胞―ミクログリア

 脳の中は、学生の時に習った神経細胞ではなく、グリア細胞と呼ばれる細胞が8割も存在していて、それらが日々電線のような神経細胞に栄養を与えたりメンテナンスしたり、脳内環境を整えることで、正常な働きをしている上に、グリア細胞はストレスに弱いので、認知症等の病気にならないためにグリア細胞を守ることが大事だそうです。

ということで、主に3種類あるグリア細胞のうちの、まずはミクログリアについて説明しますね。

 ミクログリアって聞いたことがないと思いますが、私も2年くらい前まで聞いたことがなかったです。
会社の斜め向かいの研究試薬を販売しているコスモ・バイオさんで、ミクログリアを販売しています。
なんと約20万! 商品ページ

1,ミクログリアとは?
脳の免疫担当です。体の中にいるごみ処理部隊マクロファージが脳にいるようなものです。

2,ミクログリアのお仕事
脳の中にゴミがたまると認知症になるので、脳の中のゴミを食べてくれるだけでもありがたいのですが、他にも大切なお仕事をたくさんしています。

(1)上の図の、一番下の図:食べて片付けるお仕事 (ごみ処理部隊)
細菌等に感染したり傷ついたりした時にそこに移動して、死細胞や障害を受けた細胞の破片を食べて片付ける。さらに生きているけど必要のない神経細胞を食べたり、病原体や細胞からの分泌物、老廃物も食べて除去している。

(2)中央の図:正常な時の普段のお仕事 (セコムと庭師)
突起で、シナプスや軸索をちょんちょんと触って、正常に動いているかどうか点検したり調節する。
正常なシナプスには1時間に1回、一回あたり5分間ほど接触することが観察されているらしい。
そのシナプスがいらなかったり(活動が低い)、異常があったら、食べて片付ける。シナプスが傷ついていたら損傷部分の修復促進をするけど、死んでしまったら、食べて片付ける。

(3)一番上の図:「やばいよやばいよ物質」を出して他に知らせるお仕事
神経障害時やストレス、細菌感染などによって活性化したミクログリアからは「やばいよやばいよ物質」等が放出され、炎症応答や神経変性を引き起こす。その「やばいよやばいよ物質」により中枢神経系の機能に支障が起こることで、中枢神経系疾患(多発性硬化症やアルツハイマー病など)の悪化につながることがわかってきている。
*炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1β、IL-6など)

3,ミクログリアの形

左:正常時(2)の姿
右:(1)や(3)の時のアメーバーみたいな姿 (活性型)
いらない細胞やタンパク質(アミロイドβなど)を食べたり、「やばいよやばいよ物質」を出しているときの姿

4,脳の炎症が病気につながる
 実は自分の体の一部に反応して、いつも弱い炎症反応を起こしていて、年をとっていくだけで誰でも炎症が進んでいくということに驚きました。
成熟脳: 脳の本番は56歳から始まる (新潮文庫)を読んでなるほどと思っていたので。
記憶は落ちているかもしれないけど(元々すごく記憶がいいわけでないので差がわからない(^^;))、経験値が上がって、全体像が見えて、考えることができるので、今のところ全然困っていないし。
 でも、元々非炎症型のミクログリアが、年を取るに従い、炎症型のミクログリア(活性型)の割合が増えていって、慢性炎症になっていき、組織破壊に進んでいく。。。嫌ですね。なんとかならないでしょうかね~

5,炎症を起こさせないポイント
 ミクログリアを活性型にして「やばいよやばいよ物質」を出させないことが非常に大事です。それを防ぐ夢のようなものがあるんでしょうか?
最新の研究で、なんとライラック乳酸菌が出す細胞外小胞EVが、ミクログリアを弱らせたり殺したりすることから保護する作用があることがわかったんです! ライラちゃんすごいぞ!

 

参考


図14.オルテガが撮影したミクログリアの顕微鏡写真
1932年のデータ。損傷を生じた脳の部位の周辺に存在するミクログリアが変形していく様子を捉えている。
え?1932年?!本当に突起がある形と丸っぽい形の2種類ある。

脳の寿命を決めるグリア細胞 (青春新書INTELLIGENCE 637)



筆者について

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