臭いオナラはなぜ体に悪いのか(動物に学ぶ健康1)

臭いオナラが原因で、肉食動物は病気になりやすい

neko臭いオナラは万病の元

犬や猫でもオナラをすることがあります。肉食動物のオナラはたいてい臭いオナラです。草食動物のオナラはあまり臭くないそうです(体験したことはありませんが)。

臭いオナラは病気のサインと言われますがなぜでしょうか。
肉食動物は炭水化物をあまり摂らず、腸内発酵は盛んではありません。
肉食では胃や小腸で消化吸収されなかったタンパク質の残骸が、大腸でインドールや硫化水素などの臭い物質をつくってしまいます。これが腸内腐敗の状態で、においのもとになります。

臭いオナラを徹底解明

猫は肉食の傾向が強く、炭水化物を摂らなくても生きていけます。しかし猫は慢性腎不全になりやすい動物で、5、6歳を過ぎるとほとんどの猫が腎臓に問題を抱えています。猫の死因で、がんの次に多いのが腎臓病です。

臭いオナラの素(の一つ)のインドールが原因で、腎臓機能が悪化して腎不全になると考えられています。腎臓は体内の毒素を排出する器官で、壊れると修復できないのです。腎臓は肉食動物にとって最も重要な器官といえます。

腸内発酵が弱い肉食動物は寿命が短い

肉食動物は草食動物に比べて、一般に小型で短命です。肉食動物はエサをとるために多くの時間を使います。そして大抵はお腹をすかせているのです。動物はそういう飢餓状態に慣れています。

動物がエサを取って活動するのは子孫を残すためです。しかし生殖期間を過ぎてしまうと生殖期間の仲間とエサを取り合う関係になります。肉食動物が短命なのは、ある意味必然なのかもしれません。

腸内発酵が肉食の弊害を減らす

臭いオナラを臭くなくすることが長生きの秘訣

自然界の動物よりもペットは長生きですが、寿命が伸びた分、がんや心臓病、腎臓病などの生活習慣病が急増しています。
犬・猫とも死因の第1位はがんで、犬の54%、猫の38%が、がんが原因で亡くなっているそうです1)inu

犬は特にがんになりやすい傾向があります2)
腸内細菌は健康にプラスにもマイナスにもなります。肉食だけだと腸内は腐敗状態になり、いろいろな病気の原因になります。
一方、腸内発酵が盛んだと腸内では酸がつくられて酸性に保たれます。そうすると臭いオナラの素がつくられず、病気にかかりにくくなるのです。腸内発酵が重要であることは、肉食動物でも変わりません3)

腸内発酵には炭水化物が必要

腸にいる腸内細菌は、大腸に流入する炭水化物をエネルギー源とします。炭水化物とは食物繊維と糖質ですが、量的に多いのが小腸で消化・吸収できなかったデンプン(つまり糖質)です。これは難消化性デンプン(レジスタントスターチ:RS)と呼ばれています。

大腸に届く炭水化物には食物繊維もありますが、不溶性の食物繊維を分解するには草食動物のような特別な仕組みが必要です。水溶性の食物繊維でも腸内細菌が食べられるものは限られます。

腸内発酵で臭いオナラを解消する

大腸に届いて酸をつくる能力が最もある成分がデンプンなどの糖質なのです。
糖質からは主に酢酸、プロピオン酸、酪酸などの短鎖脂肪酸がつくられます。乳酸菌やビフィズス菌は糖を分解して乳酸や酢酸をつくります。これらの酸は腸内を酸性にして悪玉菌の活動を抑制し、臭いオナラを解消します。

腸内細菌にとって現代生活は危険がいっぱい!

増加し続ける日本人の大腸がん

腸内の腐敗物質は、ヒトでは大腸がんや肝臓がんなどを促進することがわかっています。特に日本人の食生活は戦後急速に欧米化しており、大腸がんなど欧米型のがんが大幅に増加し続けているのです。
二次胆汁酸という物質は、胆汁に含まれる胆汁酸を、悪玉菌が変換したもので、強力ながんのプロモーター(促進物質)です。
腸内発酵が良好で腸内が酸性に保たれると、二次胆汁酸はあまりつくられないことがわかっています。

糖質制限ダイエットは危険です!

最近はダイエットのために、ご飯などの糖質を食べない人もいます。また糖質制限ダイエットとか、ケトン体ダイエットと称して肉食動物のような食事を勧める人もいますが、糖質制限は非常に危険です。糖質制限は腸内環境が悪化して生活習慣病の危険性が増します。実際、糖質制限によって死亡リスクが上昇するという報告があります。

http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100031/032400299/

おいしさを求めるのは人の性

野菜を食べているから大丈夫と思っている人もいると思いますが、野菜だけ食べていても腸内環境は改善されません。食物繊維よりもご飯などのデンプンの方が短鎖脂肪酸をつくります。ところがこのご飯にも問題があります。
最近のお米は本当においしくなりました。私もおいしいものが食べたいです。

でも、おいしいものばかり食べていると血糖値が上がったり、生活習慣病のリスクが高まります。その理由の一つが腸内環境なのです。
最近のお米は、おいしくするために、アミロースやタンパク質が減らされています。アミロースというのは難消化性のデンプンで、大腸に届いて腸内細菌のエサになります。

つまり大腸で酪酸などの短鎖脂肪酸をつくる成分が少なくなっているのです。腸の調子が悪い人が増えているのは、米離れとおいしい米の影響があるようです。

難消化性デンプンのアミロースは米などの穀物やイモ類などに多く含まれています。低アミロース、低タンパクがおいしさの証になっていますが、高アミロース、高タンパクが健康の証です。

腸内フローラをコントロールする

長い腸の特性を知ろうlarge_intestine

ヒトの腸の長さは7~9m(ウィキペディア)あり、この長い腸のうち約2/3が小腸で、大腸は1.5mほどです。口側から盲腸、結腸(上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)、直腸に分けられます。

ヒトの場合、横行結腸が発酵部位で、最もpHが低くなります(図1)。下行結腸、横行結腸、S状結腸と進むに連れてpHは上昇して、直腸で最も高くなります。pHが高くなるにつれて悪玉菌の活動が高まります5)

臭いオナラを解消するには腸の奥に注目!

大腸がんや炎症性腸疾患が腸の奥で多発するのは、腸の奥でpHが上昇して、腐敗物質が増加することと関係しています5)。そのため長い大腸の隅々まで酸性にする技術が求められています。

逆に、慢性の下痢では、高濃度の乳酸やコハク酸が大腸に蓄積することが知られています6)。長い腸の中で腸内細菌を自在にコントロールする技術があれば、これらの問題は解決することができます。

大切なことは腸の奥に菌の栄養を届けること

腸内フローラを良好にするコツは、腸の奥の発酵状態を適正に保つことです。適正に保つことで悪玉菌の活動は抑えられ、短鎖脂肪酸がつくられて、過剰な酸の蓄積も防止することができます。

ヒトの腸は肉食動物を基本としていますが、腸内発酵を促進することでオナラのにおいの問題を解消して、健康に過ごすことができます。
そのためには、ご飯などの腸内発酵を促進する食べ物を摂りましょう。
次回はオナラの量を減らす方法についてお知らせします。

(参考文献)
1) 日本アニマル倶楽部「犬・猫 死亡原因病気TOP10」
2) アニコム家庭どうぶつ白書2014
3) 日野ら, 犬・猫の腸内細菌と健康, ペット栄養学会誌, 7, (3), 139-152, 2004
4) Yoshimoto et al.,Obesity-induced gut microbial metabolite promotes liver cancer through senescence secretome, Nature, 499, 97-101 (2013)
5) 西川研次郎監修, 食品機能性の科学, 産業技術サービスセンター, 486-489, 2008
6) 星ら, 大腸内細菌の代謝と代謝産物の作用, 日本食物繊維誌, vol.2, No.1 (1998)


 

 

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