会社や学校で突然、下痢やオナラが襲ってくるということはありませんか。それは「スカスカ腸」のせいです。またの名を敏感腸とも言います。自分はストレスに弱いとか、性格的に神経質だと思っていませんか。下痢やオナラはストレスで起こることもありますが、ストレスが原因ではありません。ただストレスに敏感になっているだけなのです。

なぜ「スカスカ腸」になるのかをご説明します。

大きな手術を受けたときなどでは、腕の血管から栄養を補給しますが、長い間、腸を使わないでいると、腸が委縮してしまうことがわかって、最近はできるだけ腸を使うようになっています。

腸の萎縮が起こる原因は、腸内細菌がつくる短鎖脂肪酸、特に酪酸の不足にあります。腸の奥は短鎖脂肪酸が不足しやすいので、委縮が進みやすい部位なのです。

腸の萎縮は、二つの問題を起こします。一つは腸の管が狭くなること。もう一つは腸の壁が薄くなって漏れやすくなることです。腸が狭くなることは「先細り腸」のところで説明しました。

腸の壁が薄くなって漏れやすくなると何が起こるでしょうか。これはいわゆる「リーキーガット」と呼ばれるものです。症状としては下痢やオナラが多発します。

それも尋常ではないくらいたくさんのオナラが出たり、通勤途中で急にお腹が痛くなって、コロゴロしてきます。そうなるともう我慢できず、駅のトイレに駆け込むことになります。若い女性では人生を悲観して死にたいと思う人もいるようです。医学ではオナラは病気ではないので、相談しても「気にしないことだ」「神経科に行きなさい」などといわれてしまいます。

先ほど腸の萎縮は腸内細菌がつくる酪酸の不足だといいましたが、そうなるには二つのケースがあります。一つは腸内細菌のエサになる腸に届く炭水化物をあまり食べていない場合です。この場合は慢性的に腸内環境が悪い状態が続き、徐々に腸の萎縮が進むと考えられます。

もう一つが、重い腸炎などを患って、重症の下痢が続いた場合です。下痢が続くと腸内に酸がたまってしまい、腸内細菌が短鎖脂肪酸をつくれなくなっていしまいます。短鎖脂肪酸をつくるにはちょうどいいpHがあるのです。下痢やオナラが続く人はそのきっかけがあったか思い出してみてください。

長年、下痢やオナラが続いていると、ほとんどの方が食物アレルギーを持っています。気が付かない方も調べてみると特定の食べ物を採った後に下痢をするとか、オナラが出る場合があります。

この原因は「スカスカ腸」から腸内のものが体の中に漏れ出て、アレルギーをつくるからです。このアレルギーは遅延型のアレルギーである場合が多く、原因になるものを食べてから、数時間以上たってから起こることがあります。ですので原因物質を見分けるのが難しいのです。

対策としてはまず、難しいですが原因物質を見つけてできるだけ食べないようにすることです。最も多いのが乳製品、次に卵や小麦です。普段よく食べるものがアレルギーになりやすいのです。また乳糖やオリゴ糖などの腸内で発酵しやすい糖質はたくさん採るとオナラや下痢の原因になります。

原因物質がわからない場合は、抗体検査をするという方法もありますが、高額ですのでまずはここに挙げた食品から除去することをお勧めします。方法は怪しい順番にひとつづつ食べるのを止めてみます。期間は早ければ1日で分かる場合もあれば、数週間かかることもあります。遅延型アレルギーでできる抗体は数週間で半分に減ることが報告されています。

長い間下痢やオナラが続いている人は、たくさんのアレルギーがあることがあります。その場合は、主食と副食に分けてタイミングをずらして除去期間をつくります。

原因物質がはっきりとしない場合でも、除去を続けている間に腸内環境を改善するとアレルギーが収まってきます。具体的なご指導も行いますので、ぜひ恥ずかしがらずにご相談ください(たくさんの方から感謝の言葉をいただいています)。

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