腸内ガスをつくる腸内細菌

下の図は腸内細菌がどのように働いているのかを示したものです。一番上の緑字が食べ物で、赤字が生産物です。

 

 

左端のH2,CO2とメタンが腸内で発生するガスでオナラの素です。腸内細菌は主に炭水化物をエサにして短鎖脂肪酸(体に良い酸)をつくりますが、そのときにガスができます。しかしこのガスを減らしてくれる腸内細菌もいます。「ギ酸(H2,CO2)」から「酢酸」に向かう矢印にいるB9です。日本人の場合、「ギ酸」から「メタン」をつくるB10を持っている人はあまりいないので、ほとんどの人のオナラの成分は水素と二酸化炭素、それに窒素です。この窒素は空気をのんでいる証拠とされてきましたが、血中の窒素が腸管の水素とガス交換したものと考えられます。

腸内細菌のエサは食物繊維と思われていますが、実は大腸に届く腸内細菌のエサで最も多いものはデンプンなのです。これをレジスタントスターチといいます。食物繊維だけで腸内細菌を維持することは難しく、デンプンを摂らない生活をしていると大腸の健康を維持することが難しくなります。

腸内細菌のエサが不足して、酪酸や酢酸、プロピオン酸などの短鎖脂肪酸が不足すると、大腸の蠕動運動や細胞更新に影響します。また極端なダイエットをしたり、重い腸炎を経験すると大腸の活動にその影響が長く残ることがあります。

腸内細菌の活動は微妙なバランスで成り立っています。大腸内が酸性に傾いたり、アルカリ性に傾いたりするだけで、腸内細菌の勢力図が大きく変わってしまいます。大きく酸性に傾くと慢性的な軟便となり、ガスが大量に発生するようになります(先ほどのB9は酸性に弱いのです)。アルカリ性に傾くと腸内に腐敗物質が発生してくさいオナラになります。

いずれにしても短鎖脂肪酸がつくられにくくなりますので、悪い状態が長く続くようになります。このような状態から抜け出すには、腸内細菌のエサとなる食事、特にデンプンを規則正しく摂って腸内のpHを適正に保つことが大切です。

オナラの減らし方はこちらをご覧ください。