腸は自前の神経系を持っていて、脳からの指令がなくても腸だけで内容物を感知してぜん動運動を起こすことができます。

進化の過程で、あとで中枢神経とつながって脳が腸をコントロールできるようになりました。

例えば、あなたがネズミだとして、突然、ヘビに出くわした時に、あなたはとっさに「戦うか逃げるか」決めなければなりません。その時に下痢になって脱糞すると、敵の目(鼻)をくらますことによって、逃げることができかもしれません。

このようなストレス反応は動物が生きていく上で必要だったと考えられています。

しかしよく考えるとストレスは自律神経の交感神経が亢進した状態で、消化管運動を抑制します。

ストレスで便秘になるという話はここからきていますが、ストレス反応は一時的なもので、ストレスによって便秘が続くとは考えにくいと思います。

まとめるとストレスで下痢にも便秘にもなるが、それは一時的なものと考えられます。

ストレスを感じるとお腹の調子が悪くなることは誰でも経験があると思います。脳と腸は影響しあっていてます。
このようなことから、便秘や下痢などすべての便通の問題はストレスが関係していると思われるようになりました。

過敏性腸症候群というのはひどい便秘だったり、慢性的な下痢で、異常にオナラが発生したりします。
お腹の中で大きな音がしたり、意志に反して漏れたりするので外出がままならず、学生の場合は学校に行けなくなったり、通学や通勤で各駅停車にしか乗れないので「各駅停車症候群」と呼ばれて問題になりました。
このような症状を持つ人は、全体の1割以上いることがわかってきました。

これまでこれらはすべてストレスが原因であると信じられてきました。しかしこのストレス原因説は、いま曲がり角を迎えています。ストレスの影響は受けるけれども、便秘の原因は別にあります。その原因とは腸内細菌の異常なのです。