お腹の中でガスが発生するのは食べたものと腸内細菌が出会うからです。腸内細菌が健全ならば日常生活で困るほどガスが発生することはあまりありません。

日常生活で困るほどガスが発生する場合は、食べ物か腸内細菌のどちらかに問題があると思われます。

食べたものが胃を通過する時間は、野菜などで1時間くらい、ご飯などの炭水化物で2~4時間くらいといわれています。ガスが発生する理由は食べたものと腸内細菌が出会うからといいましたが、どこで出会うかが問題なのです。

腸内細菌は通常は大腸にいますが、小腸にも少しだけいます。小腸にいる菌が多い人の場合は、食事をして数時間たってちょうど胃から小腸に進んだ頃におなかがゴロゴロしだす場合があります。

その原因はあまりいないはずの小腸に腸内細菌がたくさんいることです。そうするとヒトが消化吸収する前に食べ物が腸内細菌に出会ってしまうので急激にガスを発生します。

このような小腸に異常に腸内細菌がいる状態を、「小腸細菌異常増殖(SIBO、シーボまたはサイボ)」といいます。

もし食べたものが小腸に到達するころにガスが発生するなら、SIBOの可能性があります。また食べてすぐにおなかの中でガスが発生するように感じる方は、それはもともとあったガスが移動するためにそう感じるのかもしれません。

いずれにしてもガスが発生して困るという方は、小腸に腸内細菌が上がっている可能性があります。SIBOは病気ではなく、食習慣の乱れによって起こるものです。

動物の腸は空腹時に自動的にクリーニングをします。お腹がへると「グー」とお腹が鳴ることがありますね。これがこのクリーニングです。

ところがお腹がすいたらすぐ何かを食べたり、夜寝る前に夜食を食べたりすると、このクリーニングが行われずに、大腸の腸内細菌が小腸に上がってきます。

オナラが出るのが嫌で炭水化物を敬遠する人がいますが、これは腸内環境を悪化させる原因になって、結果的にオナラにも悪影響を与えますので、あまりお勧めではありません。

人間も動物です。進化の歴史の中でいつも満腹の動物はありませんでした。人間もごく最近になって好きな時に食べられるようになったのです。

すきっ腹も慣れると楽しいものです。生活の中に取り入れることでガスの発生も少なくなるはずです。