オナラの最大の原因は空気を呑むことというのは本当ですか?

奥歯を噛みしめたり、つばを飲み込む癖のある人は、一緒に空気を飲み込みやすく、実際に飲み込む様子が動画で紹介されることがあります。

また、腸内ガスの成分を調べると一番多いのは窒素ですので、この二つの事実からオナラの主体は、「呑気(どんき)」であるというのが、通説になっています。

しかし実際にオナラで困っている人は、「呑気」で困っているのではなく、お腹の中で発生するガスが異常に多いとか、たまって苦しいとかで困っています。

消化器科を訪ねても、「ストレスが原因ですから、ストレスをためないようにしてください。一度、心療内科を訪れてみては」といわれるのです。

心療内科に行っても、「呑気症と言って、不安に思う気持ちが症状を起こしているので、あんまり深く考えないで気を楽に」と言われて、抗不安薬や抗うつ薬を処方されることがあります。心療内科では過敏性腸症候群への様々なアドバイスがされて、快方に向かうようです。

さて最初の質問に戻って、オナラの原因は「呑気」かということですが、実はこれには大きな?がつくのです。

炭水化物を腸内細菌が分解して短鎖脂肪酸をつくるときに、一緒に水素ガスと炭酸ガスを発生します。人によってはメタンガスも出ます。

これらのガスは血中に溶けて、肺に行き、呼気に交じって排出されます。呼気中の水素を調べると、炭水化物が腸内で発酵を受けている様子がわかります。これを呼気水素試験といいます。腸内でつくられた(と推定できる)水素の約14%が呼気から検出されたと報告されています。

また腸の壁に小さな風船のようなふくらみが多数できることがあります(腸管気腫症)。この風船の中の気体を調べるとほとんどが窒素で、オナラと同じなのです。

腸管気腫症の治療には高圧酸素法が有効です。高圧の酸素の下で、血中の窒素を追い出してほぼ酸素だけにすることで、風船の中の窒素も酸素に置換され、減圧すると酸素は消費されて風船もしぼんでなくなります。

これは何を意味するかというと、腸内でも肺と同じようにガス交換が行われていて、血中に溶けた気体の分圧と同じになろうとするということです。血中では通常は肺で溶け込んだ窒素が80%以上存在します。その濃度と同じになる傾向があります。

したがってオナラの成分に窒素が多いからと言って、オナラの原因は呑気だとはいえないということです。