動物の臓器は使わないと委縮します。これを廃用萎縮といいます。

腸の場合は、使わないと急速に委縮することが知られています。手術などで口から栄養を採れない場合に、昔は腕の静脈から栄養成分を点滴していましたが、そうすると腸が急速に委縮するため、最近ではできるだけ腸に栄養を通すようにしています(経腸栄養)。

腸の場合は、腸内細菌が腸の中を通る食べ物を分解して短鎖脂肪酸というものをつくります。短鎖脂肪酸のうち主に酪酸が腸のエネルギーとなって、大腸粘膜の増殖やぜん動運動を起こします。

腸の中を食べ物が通過しないと酪酸がつくられず、大腸がやせてしまいます。また大腸で酪酸がつくられないと、上流にある小腸の絨毛までもが委縮することが知られています。

現在の食事は以前に比べて大腸に届く難消化性の成分が少なくなっています。そのため腸の奥では栄養不足となって大腸がやせてしまうことが多いようです。