リラ子がラットの盲腸内容物から単離した腸内細菌の次女のドレミちゃんは、エクオール生成菌です。まさか、エクオールみたいなマイナーな言葉を知っている人が増えるとは思いませんでした(^^)テレビに初めて流れたのは、たぶん2015年のNHKスペシャル「腸内フローラ」ではないでしょうか?
エクオールは、女性ホルモンのエストロゲンよりも活性の強い物質です。30-50%の人しかエクオールをつくることができないそうで、それはおなかにいる腸内細菌が違うからです。つくれる腸内細菌を持っている人と、持っていない人がいるのです。ちなみにリラ子は持っていません。自分のウンチで自分で調べました(#^.^#)
大豆に含まれているイソフラボンの一種のダイジンっていうのが、腸内細菌によって、ダイゼインになって、さらに菌をもっている人はエクオールになります。つくれる人のほうが、前立腺ガンや乳がんや骨粗鬆症になりにくいっていう疫学調査結果もあります。
DFA3というオリゴ糖を食べて腸内フローラがどう変わるかという研究が終わったころ、今から10年前ですが、教授から「世界中でエクオール生産菌を探しているけど、まだみつかっていない。南田さんは、菌取り名人だから、採れるのでは?」とおだてられて、約一か月必死に実験して、とっちゃったんです~それが次女のドレミちゃんです。
たまたま新属だったので、新属提案の実験もして名前もつけました~ 新属っていうのは、たとえばヒトの学名はホモ サピエンス ですが、そのホモっていう部分(属)のグループが、今までみつかっていない新しいグループっていうことです。よく勝手に名前をつけている人がいるんですけど、それは正式じゃないんです。IJSEMという雑誌に論文を投稿して、認められて、正式な名前になります。
つけた菌名は、Asaccharobacter celatus です。(アサッカロバクター セラタス)意味は、隠れていた糖を分解しない桿菌 っていう意味です。ラテン語なんかわかりませんから、いろんなのをひっくりかえしてつけました。
で、とった株の名前は、do03 です。これで、ドレミって呼ばせます(^^) なんで1株しかとってないのに03?それは、ネコの長女の名前をつけたからです~\(^o^)/ ネコのドレミちゃん
論文や特許をいろいろ調べて初めてと思っていたのですが、大塚製薬さんが、すでに違うエクオール生成菌をヒトからとっていて、サプリを販売されました。すごいですね~
ドレミちゃんをとってから、ヒト(自分)からもとって、サプリをつくりたかったのですけど、残念ながら、リラ子のおなかにはエクオールをつくる菌がなかったのです~
でも、エクオールをつくれない人は、乳がんや更年期障害になるっていうわけではなく、つくれないないなら、つくれないなりに、大豆を食べて、イソフラボンをとればいいんですよ~女性ホルモン様活性が弱くたって、ないよりはいいんですからね~リラ子は毎日納豆1パックしか食べていませんが、それでも、更年期障害がでていません。
三女のライラック乳酸菌のライラちゃんも飲んでいるので、腸内が酸性でカルシウムの吸収がいいのか、骨密度も若い時よりも高いですよ~
でもご興味のある方は大塚製薬さんのサプリを飲んであげてくださいね~研究が成果になるって、嬉しいですね(^^)
今ドレミちゃんは、北海道大学(AHU)と理化学研究所(JCM)とドイツの菌株保存施設(DSM)で眠っています。リラ子はドレミちゃんをとったあと、脱北(海道大学)したのですが、研究を続けてくれたタイの留学生さんや先生方が、みんなで、ドレミ、ドレミ♪っていってくれるのが、嬉しかったですね~ ネコのドレミちゃんは論文が世に出る前に、天寿を全うしてお星さまになってしまいましたから~
以下、ドレミちゃんの論文です。
① Minamida, K., Tanaka, M., Abe, A., Sone, T., Tomita, F., Hara, H., and Asano, K.: Production of equol from daidzein by a gram-positive rod-shaped bacterium isolated from rat intestine. J. Biosci. Bioeng., 102, 247-250 (2006).
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1389172306706612
② Minamida, K., Ota, K., Nishimuki, M.,Tanaka, M., Abe, A., Sone, T., Tomita, F., Hara, H., and Asano, K.: Asaccharobacter celatus gen. nov., sp. nov., isolated from rat caecum. Int. J. Syst. Evol. Microbiol., 58, 1238-1240 (2008).
https://ijs.microbiologyresearch.org/content/journal/ijsem/10.1099/ijs.0.64894-0