「腸内フローラのバランス」を整えて、「慢性炎症」を防ごう(慢性炎症⑥)

「腸内フローラのバランスの乱れ」が「慢性炎症の元」で「万病の元」⑥

⑤では、アルツハイマー病も脳の「慢性炎症」が原因かもしれないという話をざっくり説明しました。じゃあ、その「慢性炎症」を抑えるにはどうしたらいいかというところで、終わっていたのですが・・・

そもそも私がこの総説を知ったのは、グーグルのお知らせです。自分の論文を参考論文として誰かが論文を書いた場合、お知らせがくるように設定しているのです。

https://scholar.google.co.jp/citations?user=UR49gVkAAAAJ&hl=ja

これ↑が私の論文のリストで、

・上の方は、エクオールをつくる二女ドレミちゃんを発見して名前を付けた論文
・真ん中あたりは、DFA3というオリゴ糖を食べることによって長女ルミノちゃんが増えて
 二次胆汁酸(大腸がんや肝臓がんの促進物質)が減るよという論文
・下の方には3女ライラちゃんの臨床試験と
 今回ご紹介した総説の参考文献になった北海道大学との共同研究の論文があります。

これ↓
Combination of soya pulp and Bacillus coagulans lilac-01 improves intestinal bile acid metabolism without impairing the effects of prebiotics in rats fed a cholic acid-supplemented diet
著者
Yeonmi Lee, Reika Yoshitsugu, Keidai Kikuchi, Ga-Hyun Joe, Misaki Tsuji, Takuma Nose, Hidehisa Shimizu, Hiroshi Hara, Kimiko Minamida, Kazunori Miwa, Satoshi Ishizuka

この論文は、「ラットに高脂肪食モデルのエサを食べさせると、二次胆汁酸が増えるのだけど、エサにライラック乳酸菌とオカラを追加すると、二次胆汁酸を増やさなかったですよ」という結論ですが、

総説には、その「二次胆汁酸を増やさなかったですよ」というところが引用されたわけではなく・・・

「高脂肪食はアルツハイマー発症のリスクを高めることが研究で指摘されている。高脂肪食を食べさせたラットの腸はスカスカになる(「腸透過性」があがる)が、すべての高脂肪食が「腸管透過性」に負の影響を示すわけではない(Leeら、2016年)」と、ここで引用されました。

高脂肪食モデルのエサを食べさせたのに、ライラック乳酸菌とオカラも一緒に食べさせると、「腸透過性」が上がらなかったのです。「腸透過性」があがらないということは、ざっくりいうと腸がスカスカにならなかったということです。

どうしてかというと、
高脂肪食で増える二次胆汁酸は腸内細菌の毒なので、腸内フローラのバランスが乱れるのですが、ライラック乳酸菌とオカラと一緒に食べることによって、腸内フローラのバランスが乱れなかったので、腸のエネルギーである短鎖脂肪酸もちゃんとできたからだと考えられます。

腸がスカスカになると、腸内細菌たちがつくった炎症物質だけでなく、腸内細菌たちも体の中にはいってしまい、体が「慢性炎症」状態(免疫の暴走状態)になってしまいます。

ということで。。。

アルツハイマーなど脳の病気が「慢性炎症」が原因というのはまだ仮説ですが、「慢性炎症」が万病の元であるのはだんだんわかってきているので、健康で暮らすためには「慢性炎症」を防ぐことが大事で、「慢性炎症」を防ぐには、やはり毎日食べる食事で、自分の腸にいる腸内細菌たちにも腸まで届くエサをやって、腸内フローラのバランスを整えることが非常に大事だと考えられます。

腸内フローラが整っている目安は、「黄褐色のバナナくさい臭いなし」ですよ~ ウンチ見て健康管理してくださいね(^^)/

最近では、ライラック乳酸菌や腸内細菌たちも、結構おしゃべりで、短鎖脂肪酸だけではなく、いろんなメッセージ物質も作っていて、宿主の私たちに影響を与えていることがわかってきました。研究者は細菌たちの「言霊」っていってます。

ライラちゃんは何をしゃべっているのかな~気になります(^^)

*参考にした総説
Spielman et al., Unhealthy Gut, Unhealthy Brain: The Role of the Intestinal Microbiota in Neurodegenerative Diseases. Neurochem. Int, 120, 149-163 2018.
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0197018618301980

筆者について

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