便秘には、腸の病気などが原因でおこる便秘(器質性)と病気ではないが排便できない便秘(機能性)があります。病気ではない便秘は、便が直腸に溜まっても出ない便秘(直腸性)と大腸が緩んで押し出せない便秘(弛緩性)、さらに大腸が細くなって通りずらい便秘(けいれん性)があります。

便が直腸にたまっても出ない便秘(直腸性便秘)は、便意を何度も我慢しているうちに、排便反射がにぶくなる便秘です。

大腸が緩んで出ない便秘(弛緩性便秘)の場合は、大腸が弛緩して正常な蠕動(ぜんどう)運動ができず、腸が停滞している状態です。このような場合、大腸の形が変形していることが多いようです。久里浜医療センターのHPに多くの事例が紹介されています。くびれたところなどに便やガスが溜まり、お腹が張って苦しくなります。

大腸が細くなって通りずらい便秘(けいれん性便秘)の場合は、大腸の細胞更新のエネルギーが不足して大腸が萎縮した結果と考えられます。長年ダイエットなどで大腸に届く腸内細菌のエサが不足していると、大腸の最大のエネルギー源である短鎖脂肪酸が供給されなくなります。また腸壁細胞のバリア機能が落ちると、知覚過敏になることも考えられます。

このように便秘にはいくつかのタイプに分類できますが、これは進行度による違いの可能性があります。共通していることは腸内細菌のエサが不足して大腸内の短鎖脂肪酸が十分に供給されていないことです。

対策としては、大腸の中で短鎖脂肪酸がつくられて、大腸のエネルギーとして供給されれば、大腸の細胞が更新されて腸の健康は維持されます。また正常な蠕動運動が起こって、便通が改善されます。

大腸内で短鎖脂肪酸をつくるためには、乳酸菌サプリメントの摂取が有効ですが、食生活の改善も必要です。大腸に届く腸内細菌のエサで最も量が多いのがデンプンです。このようなデンプンをレジスタントスターチといい、米やイモ、豆などに多く含まれています。極端なダイエットは避け、バランスの良い食事を心がけてください。

ひどい便秘の場合は大腸のいたるところで便が通りずらい箇所ができていることがあります。そのような状態で不溶性食物繊維を摂ると便秘がさらに重くなる事がありますので、注意が必要です。

(参考文献)

牛田,プロバイオティクスに対する腸管組織の生理応答,日本乳酸菌学会誌,Vol.18,No.1, p13-16 (2007)
食品機能性の科学,p476-488 (2008)

 

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