オナラを克服するための過敏症対策

遅延型アレルギー(過敏症)でオナラが出るって本当?

そもそもアレルギーはなぜ起こるの?

オナラの原因として、本来いないはずの小腸に細菌が異常増殖するSIBO(小腸細菌異常増殖)を、以前にご紹介しました(→オナラが湧き出る理由は間違った食事)。

今回は、遅延型アレルギーによるオナラを取り上げます。アレルギーでオナラが出るって不思議ですよね。

そもそもアレルギーってどうして起こるのでしょうか。まずは小児期のアレルギーについて考えます。

アレルギー対策に革命?

幼児期はアレルギーの子どもが多く、お母さんたちを悩ませます。特に牛乳や卵、小麦などの特定の食物に対して過敏になって、下痢などの症状が出ます。baby

幼児期にアレルギーが多い原因は、消化機能や免疫機能が未熟なためといわれてきました。
この時期のアレルギーは一過性で、3歳で50-70%、6歳で90%の子が、食物過敏をおこした食品を食べられるようになるようです1)

以前は腸の機能がしっかりできるまで、離乳食は遅らせた方がいいという考え方がありましたが、現在は早くても遅くても良くないといわれています。

それよりも大切なことは、早い時期からスキンケアをしっかりすることだそうです。
ハウスダストなどが赤ちゃんの肌を通して体内に入り、アレルギー体質をつくる可能性があるということなのです。

実はいま、アレルギーについての考え方が大きく変わろうとしているのです。

アレルギーマーチの出発点は皮膚?

アレルギー体質の子どもが成長するにつれていろいろなアレルギー疾患に順番にかかっていくことを「アレルギーマーチ」といいます。

多くは乳児期に食物アレルギーを発症し、間もなくアトピー性皮膚炎、少し成長して気管支ぜん息、アレルギー性鼻炎などに順番に罹るというのがよくあるパターンです。

乳児期の早い時期からのスキンケアが、皮膚からの感作を予防して、アレルギーマーチを抑制することが2014年に相次いで発表され、注目されました1)2)3)

感作というのはある抗原(アレルゲン)に敏感になることで、最初に肌を通してアレルギーになるそうです。

アレルギーは、①抗原(アレルゲン)と免疫細胞が接触して、②抗原ごとの抗体ができ、③次にその抗原が入ってきた時に、最初に出来た抗体とアレルギー反応をおこす、という順で反応が起こります。

”衛生仮説(きれいすぎることがアレルギーの原因)”に疑問の声

衛生仮説とは

先進国では花粉症、気管支ぜん息、食物アレルギーなどのアレルギー性疾患が増加しているのに、発展途上国ではあまり増えていません。これを説明するために、「衛生仮説」というものが信じられてきました。
環境が綺麗なほどアレルギーを発症しやすいということです。

もう少し詳しく説明すると、ヒトの体はTh1とTh2という免疫細胞のバランスで守られています。衛生仮説とは、寄生虫担当のTh2細胞が強すぎると、IgEという抗体をつくって、寄生虫の代わりに自分の体を攻撃してしまうということです。

細菌やウイルス担当で、IgG抗体をつくるTh1細胞を増やすと、Th2が減ってバランスが取れ、アレルギーが良くなるとしています。
細菌やウイルスの多い環境の方がTh1が増え、寄生虫がいるとTh2も正常に働くようです。実際、寄生虫を飲んでクローン病などの難病の治療をする例があります。

しかしそれでは困りますので、別の方法を考えなければなりません。
これまでは抗原(アレルゲン)が体に入ったあとのことばかり考えていましたが、どうして抗原と免疫細胞が出会うかということが考えられていませんでした。

多細胞生物はバリアで守られている

進化の歴史の中で、生物は細胞が一つしかない単細胞生物から、たくさんの細胞でできた多細胞生物に進化してきました。
一つの個体として生きるためには、外界から細胞のシートで守る必要がありました。そのためには細胞と細胞の間を異物が侵入しないように縫い合わせる必要があります。ちくわ理論

動物の表面や多くの器官は、上皮という細胞のシートで守られています。

ここで「ちくわ」を思い浮かべてください。「ちくわ」の身の部分を動物の体、「ちくわの穴」は消化管の中と考えてください。「ちくわ」の身は薄皮で覆われているとします。この薄皮が「上皮」です。

上皮は上皮細胞が縫い合わされてシート状に並んだもので、外と内を仕切るバリアを形成しています。

抗原(アレルゲン)がこのバリアを越えてこないと、アレルギーにはなりません。ではどうして越えられたかです。

消化管の中は免役で守られている

消化管の中は食べたものが流れてきて、腸内細菌や毒素が常に存在します。そのため動物の腸管には全身の6割もの免疫細胞が集まっていて、腸管に入ってくる病原菌などの異物に対してIgA抗体がつくられます。

また口から食べたものについては、これは攻撃しなくてもいいということを一つづつ学習していきます(経口免疫寛容)。

IgA抗体は腸の粘膜面に分泌されて病原菌やウイルスなどの抗原とくっついて、そのまま便として排出されます。IgA抗体は体の外(腸管の中つまり「ちくわの穴」)で仕事をしますが、IgE抗体とIgG抗体は体の中にあるので、これらと出会うためには、やはり抗原(アレルゲン)が体の中に入ることが必要なのです。

アレルギーの正体は、バリア機能が突破されている姿!

タイトジャンクション-細胞の縫い目

ちくわの薄皮つまり上皮は、上皮細胞同士が縫い付けられてシート状になっています。細胞同士をバリアとして密着して結びつけているのが密着結合(タイトジャンクション)です。

経皮感作このタイトジャンクション(TJ)という仕組みが、いま注目されています。タイトジャンクションは細胞と細胞を縫い合わせる糸のようなもので、状況に応じて強くなったり弱くなったりします。

タイトジャンクションは腸の上皮細胞だけでなく、皮膚の上皮細胞にもあって、細胞間をシールする重要な役割を果たしています。

先ほどのスキンケアによって小児のアレルギーが減ったという例を紹介しましたが、実はダニの糞中のプロテアーゼという酵素がタイトジャンクションの成分を分解するという報告が、その前にありました4)スキンケアによってダニから守られていたのです。

また、表皮の一部の角層という膜をつくる遺伝子に異常がある場合、アトピー性皮膚炎を発症することが多く、食物アレルギーの発症とも関連していると報告されています4)
表皮のバリア機能に障害があると、経皮感作が起こり、食物アレルギーの発症にもつながっていることが考えられます。

肌は無防備でアレルギーの突破口になる

皮膚には消化管のようにIgA抗体が分泌される免疫機能はありませんし、経口免疫寛容のような仕組みもありません。皮膚のバリア機能が突破されて異物が侵入した場合、アレルギーを起こしやすいのです。

大人でも「茶のしずく石鹸」の加水分解小麦で、多くの方が小麦アレルギーを発症しました。手作りパン工房の職人さんも小麦アレルギーを発症しやすいといいます。

「ちくわの穴」の方は防御態勢ができていて、異物の侵入に対して比較的強いのですが、表面(肌)は無防備なのです。

肌を通してアレルギーになる仕組み

病気の解明や予防法の開発には、実験動物の活躍が欠かせません。
理化学研究所(理研)では、アトピー性皮膚炎を発症するモデルマウスをつくりました。

マウスに遺伝子変異を起こして、かいたり擦ったりする皮膚炎を発症するマウスを選別しました。皮膚炎の原因となる遺伝子変異を調べたところ、皮膚の古い細胞が剥がれるときに働くプロテアーゼという酵素の遺伝子が強く働いて、皮膚バリアに障害が起こっていることがわかりました。

ヒトのアトピー性皮膚炎でも調べたところ、6例中4例で同じことが起こっていました。
また事前にワセリンを塗るなど皮膚のケアをすることで予防できる可能性があることがわかりました。

この場合は、タイトジャンクションではなく上皮細胞そのもののバリア性が低下する例です5)

まとめ

今回は、オナラが出る原因としてのアレルギーを取り上げましたが、オナラの原因はさておいて、アレルギーの説明で終始してしまいました。

これまでのアレルギー対策は、体の中に抗原(アレルゲン)が入ってしまった後のことばかり考えていましたが、なぜアレルギーが起こるかということを考えた時に、抗原が体内に侵入しているという事実を認めざるをえないわけです。

そうなるとアレルギー対策としては、緊急的には抗原(アレルゲン)を排除することですが、次に考えることは壊れたバリアを回復し、過敏になった異物にどう慣れていくかということです。

次回はアレルギー対策その2です。

(参考文献)
1) 小口ら, 消化管からみた小児の食物アレルギー, 順天堂医学, 43, 1, p.2-11,(1997)
2) 大塚ら, 消化とアレルギー, 順天堂醫事雑誌, 60, P. 2〜7 (2014)
3) 井上ら, ベビーケアレポート Vol.9 早期スキンケアはアレルギーマーチを予防するか, 小児医療・育児関連専門職の方の情報サイト http://www.wakodo.co.jp/ikuji/kankeisha/
4) 山本ら, 皮膚バリア機能にとって何が重要か?, 皮膚の科学・第10巻・増刊16号・2011年10月, P.1-4
5) 理化学研究所広報活動,アトピー性皮膚炎モデルの原因遺伝子を解明
-JAK阻害剤または保湿剤でアトピー性皮膚炎を予防-
http://www.riken.jp/pr/press/2016/20160426_3/#fig2″

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